
80年代最後のこの作品は,ボンドが上司の命令にそむき,個人的な復讐に走るという斬新なストーリーで,原作に近いハードさが売りとなった作品である.今回の作品ではフィーリックス・ライターが登場するが,演じるのは「死ぬのは奴らだ」でも同役を演じたデヴィッド・ヘディソンである.数々のアクションシーンの中でも麻薬工場の爆発から始まり,タンクローリー4台によるカーチェイス(最後にはすべて爆破される)までは圧巻である.本作では様々な「最後」がある.ボンド,M,マニーペニーは本作を区切りにすべて配役が変わり,また監督であるジョン・グレンも連続5作をとって監督のいすを降りる.第1作からの脚本を手がけてきたリチャード・メイボーム,メイン・タイトルをデザインしてきたモーリス・ビンダーがともに他界したため,本作が最後の作品となった.
ボンドの親友,フィーリックス・ライターの結婚式の日.しばらくの間顔を見せなかった麻薬王のサンチェスが現れた.ライターはDEA(麻薬取締局)の仲間,そしてボンドとともにサンチェスの逮捕に向かう.見事サンチェスは逮捕されたが,身内に裏切り者が出たためサンチェスは逃亡.一方ライターには逮捕の仕返しとして彼の新妻を殺し,そして彼にも重症を負わせた.このことに腹を立てたボンドはMからの忠告も聞かずに「殺しのライセンス」を取り消され,個人的行動に走る.
ジェームズ・ボンド | ティモシー・ダルトン |
パメラ・ブービエ | キャリー・ローウェル |
フランツ・サンチェス | ロバート・ダビ |
ルペ | タリシャ・ソト |
ミルトン・クレスト | アンソニー・ザーベ |
ダリオ | ベニシオ・デル・トロ |
トゥルーマン・ロッジ | アンソニー・スターク |
シャーキー | フランク・マクレ |
フィーリックス・ライター | デヴィッド・ヘディソン |
M | ロバート・ブラウン |
Q | デズモンド・リューウェリン |
マニーペニー | キャロライン・ブリス |
監督 | ジョン・グレン |
製作 | アルバート・R・ブロッコリ/マイケル・G・ウィルソン |
脚本 | マイケル・G・ウィルソン/リチャード・メイボーム |
撮影 | アレック・ミルズ |
編集 | ジョン・グローバー |
プロダクション・デザイン | ピーター・ラモント |
特殊効果 | ジョン・リチャードソン |
メイン・タイトル | モーリス・ビンダー |
音楽 | マイケル・ケイメン |
本作ではMI6が命令を下しているわけではないが,Qはマニーペニーの要請でボンドのもとへ"旅行用品"を持って向かう.使うと絶対に目がさめなくなる目覚し時計(爆薬が仕掛けてある),歯磨きに見せかけたプラスチック爆弾とタバコに見せかけた起爆装置,指紋を照合してボンドでないと撃てない手相プログラム銃(カメラに見せかけた銃でフィルムのかわりに弾をセットする),写真をとろうとするとフラッシュの部分からレーザー光線を発射する機能を有していてX線写真がとれるポラロイドカメラなど.またQ自身が双方向ラジオ・トランスミッターを内蔵したほうきを使っている.