
前作「ダイヤモンドは永遠に」でショーン・コネリーが復帰.しかし彼はこれ以上ボンド役を続けなかった.そこで新しいボンド役に指名されたのがロジャー・ムーアである.彼はこのオファーを受けるのは初めてではなく,「ドクター・ノオ」を製作する際にも指名されたが,当時はTV番組で忙しかったのだ.それから10年後,ようやく46歳でボンド役を射止めた(彼は実はショーン・コネリーよりも3歳年上である).彼が演じるボンドはこれまでのハードな部分が削られ,軽くユーモラスなボンドとなった.劇中でよく発しているギャグの数々はその一例である.しかしアクションはいまだ健在であり,空飛ぶジェットボートによる前代未聞のボートチェイスは圧巻のシーンである.なお本作はおなじみのガジェットマスター・Qが登場しない唯一の作品である.
カリブ海の島国,サン・モニークを調査していたイギリス情報部員が,相次いで3人殺害された.さっそくアメリカに飛んだボンドはフィーリックス・ライターとともにサン・モニークの大統領,Dr.カナンガを捜査する.そのうち彼はMr.ビッグに変装し,彼のレストランチェーン「フィレ・オブ・ソウル」を通じて麻薬を無料で配布し,麻薬中毒者を増加させようとしていた.Dr.カナンガにタロットカードで指示を与える謎の美女,ソリテールから情報を得るため,ボンドはカリブ海へ向かった.
ジェームズ・ボンド | ロジャー・ムーア |
Dr.カナンガ/Mr.ビッグ | ヤフェット・コットー |
ソリテール | ジェーン・シーモア |
ティーヒー | ジュリアス・W・ハリス |
バロン・サメディ | ジェフリー・ホルダー |
ロージー・カーヴァー | グロリア・ヘンドリー |
ペッパー保安官 | クリフトン・ジェームズ |
フィーリックス・ライター | デヴィッド・ヘディソン |
M | バーナード・リー |
マニーペニー | ロイス・マックスウェル |
監督 | ガイ・ハミルトン |
製作 | アルバート・R・ブロッコリ/ハリー・サルツマン |
脚色 | トム・マンキーウィッツ |
撮影 | テッド・ムーア B.S.C. |
編集 | バート・ベイツ/レイモンド・ポールトン/ジョン・シャーリー |
メイン・タイトル | モーリス・ビンダー |
音楽 | ジョージ・マーティン |
いつものQのかわりにMがボンドに秘密兵器を届ける.それは腕時計.Qに修理を出していたもので,拳銃の弾の弾道も曲げることができるほどの強力な磁力を発生したり,回転式ノコギリとなる.他には圧縮空気が詰まったカプセル(弾)とこれを用いてサメを撃つシャーク銃,部屋に仕掛けられた盗聴器を探知する盗聴探知機,無線送信機になるヘアブラシ,双方向ラジオの機能があるシガレット・ライター("フィーリックス・ライター"という名前)などが登場する.