
前作「女王陛下の007」のみでジョージ・レイゼンビーはその役のプレッシャーに勝てなかったのかボンド役を降りた.プロデューサーたちは新たなボンド探しを行っていたが,映画配給会社であるユナイテッドアーティスト社が多額の出演料と2本の映画製作権を用意してショーン・コネリーに話を持ちかけ,見事に彼は戻ってきた(コネリーはこの収入すべてを使って教育基金を設置).しかし今回が最後だと.この作品はほとんどがアメリカで製作された初めての作品である.中でもボンドがティファニー・ケイスとムスタング・マッハ1に乗り,パトカーを相手にラスベガスで繰り広げるカー・チェイスはすばらしく,以後伝統となる片輪走行はここから始まっている.
南アフリカから大量のダイヤモンドがアメリカに密輸され,市場に出回らずに姿を消した.ダイヤの不当廉売を避けたいイギリス政府はさっそくボンドを派遣して調査を開始.そのうち国際密売組織の連絡員,ティファニー・ケイスと出会う.彼女と行動をともにするうち彼の前に現れたのはブロフェルドだった.彼は世界中から集めたダイヤモンドを人工衛星に搭載して,強力なレーザーを発生する殺人兵器を作っていたのだった.
ジェームズ・ボンド | ショーン・コネリー |
ティファニー・ケイス | ジル・セント・ジョン |
エルンスト・S・ブロフェルド | チャールズ・グレイ |
キッド | パター・スミス |
ウィント | ブルース・グローバー |
プレンティー・オトゥール | ラナ・ウッド |
ウィラード・ホワイト | ジミ・ディーン |
フィーリックス・ライター | ノーマン・バートン |
M | バーナード・リー |
Q | デズモンド・リューウェリン |
マニーペニー | ロイス・マックスウェル |
監督 | ガイ・ハミルトン |
製作 | アルバート・R・ブロッコリ/ハリー・サルツマン |
脚色 | リチャード・メイボーム/トム・マンキーウィッツ |
撮影 | テッド・ムーア B.S.C. |
プロダクション・デザイン | ケン・アダム |
編集 | バート・ベイツ/ジョン・W・ホルムス |
特殊効果 | レスリー・ヒルマン/ホワイティ・マクマーン |
メイン・タイトル | モーリス・ビンダー |
音楽 | ジョン・バリー |
いくつか登場するが,一番重要な鍵を握っているのは,自分の声を任意の人の声に変換できる「ボイス・ボックス」である.敵はこれを利用して,ウィラード・ホワイトになりきっていた.ボンドもホワイトの手下になりきるべくボイス・ボックスを使用.これはQが子どもにプレゼントするために作ったらしい.そのほかボンドがダイヤ密輸業者ピーター・フランクスになりきるために人工指紋を使用.またQはラスベガスのスロットで大もうけするためにドラムの回転を任意に操る電磁RPM制御機を使っている(RPMは回転の意か?).結果は大成功.