「歴史」の項目でも述べたように，デロリアンのボディーは3台を除いてすべて無塗装のステンレス(SUS304)がオリジナルです．除かれる3台はゴールドパネルのものです．もともとが無塗装なのでカラーバリエーションは豊富です．

デロリアンにはエクステリアの特徴が多いです．まず前項でも書いたとおり，ボディーがステンレスで構成されています．しかし実際は中の骨組みまでステンレスということはなく，FRPの骨組みにステンレスパネルを取り付けた構成になっています．

外装のステンレスパネルの違いによってモデル年式の大まかな違いがわかります．

81年式のうち初期のものは一番左の写真にあたり，ボンネットに給油口のふたがあります．81年式のうち後期のものと82年式は給油口がなくなり，溝だけのデザインになります．最も多く出荷されているのがこのタイプです．83年式は溝もなくなり，デロリアンのロゴが付けられています．他にもラジオアンテナの位置やドアベルトが出荷時期により異なりますが，ボンネット含めいずれも交換や改造が可能ですので，これだけによって完全に年式を判別することは不可能です．

デロリアンのガソリンタンクは前にあり，これに伴って給油口も前についています．まだ店員対応が多い日本においてはガソリンスタンドで戸惑われることもしばしばだとか．初期のものは給油口のふたがついているので，ボンネットを開くことなく給油できます．しかし中期・後期型は給油口のふたがついていないので，ボンネットを開いて給油することになります．

デロリアンで最も目を引く装備といえば，ガルウィングドアでしょう．ガルウィングとは「カモメのツバサ」を意味しています．ドアを完全に開けた状態での全高は約1.9mであり，完全に開くには高さが必要ですが，外側には28cmしか飛び出さないので，隣の車にぶつかるということはありません．

ブレーキディスク・タイヤとも前後で違う径になっています．写真左の小さいタイヤが前，右の大きいタイヤが後です．ブレーキディスクもこれに応じて大きさが異なります．

各種アクセサリもオプションとして販売されていました．中でも多く出回っているのが写真のサイドストライプの幅広版です．このほかにサイドウィンドウ下に取り付けるアクセントラインや，後ろに取り付けるバゲッジラック・スキーラック，デロリアン専用のカバーなどもありました．

インテリアはオリジナルで3タイプあります．ブラック，グレー，ブラウンの3色ですが，このうちブラウンインテリアは3台のゴールドデロリアンのうち2台にのみ採用されています（もう1台はブラック）．映画に登場したものはグレーインテリアです．

製造されたデロリアンは一部を除いてすべて左ハンドルです．その「一部」は右ハンドルなわけですが，右ハンドルの車のほとんどはオーナーによって改造されたものです．

2人乗りなのでシートは2つ．シートの後ろはラゲッジスペースになっています．トランクはボンネット内にありますが深さがあまりないので，高さのあるものはこのスペースにおくことが出来ます．狭そうに見えますが，結構いろいろ乗せられるようです．

映画でもよく登場した計器類のデザインはシンプルです．スピードメータには違いがあり，当初は最高が85MPHのものが取り付けられていました．その後140MPHのもの，あるいはkm表示がメインになっているパネルも取り付けられるようになりました．映画の中で登場するものは最高95MPHのメータですが，これは88MPHを表示させるためのカスタムパネルで一般に取り付けられていたことはありません．

その他，エアコンスイッチやラジオが入っているセンターコンソールもあります．非常に小さいパワーウィンドウの開閉スイッチもドア側ではなく真ん中にあります．

デロリアンに搭載されているエンジンはPRVという名がつけられたV6エンジンです．"P"はプジョーのP，"R"はルノーのR，"V"はボルボのVであり，これら3社による共同開発のエンジンです．いわゆるスポーツカーに載せられているような高馬力のエンジンではなく，普通のエンジンです．

排気量は2849cc，最高出力は130hp/ 5,500rpmです．当初はターボ搭載車も発売される予定でしたが，発売までには至りらず，オーナーによって後付されたものがほとんどです．